愛に結ばれた蝶
10








「良いわよ
あたしが出すから
黙って下がっていなさい」


「いやいや!
僕が出しますって!」


「あのー…お客様…?」





僕と蝶子さんは

レジの所で言い合いをしていた




テーブルから伝票を持って離れたのは僕

流れで僕が出すものだと思っていたら



蝶子さんが自分が出すと言い始めたのだ

しかしそれでは駄目だ

普通ここで出すのが男の役目



だから断ったんだけど

蝶子さんが思ったよりも頑固で



僕らはレジの前で言い合うことになってしまったのだ

お昼時だから待っているお客さんも

レジでお会計をしている店員さんも

遠巻きに僕らを見ている





「蝶子さん
ここは黙って下がってください

男である僕が出すのが普通でしょう?」


「それ
一種の男女差別よ!」


「差別じゃないですって!
レディーファーストの一環です!」


「メンズファーストだってあっても
可笑しくないでしょ!

アンタこそ黙って下がりなさいよ!」


「無茶苦茶ですよ蝶子さん!」








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