愛に結ばれた蝶







ユウが死んでくれたら良いのにって

あたしは思っていた




あたしを裏切り

殺しの道へと進めたユウなんて

死んでしまえば良いと




ユウへの八つ当たりだとわかっていた

ユウへ何を言っても無駄だと

だってユウは誰もどこへ行ったのか知らないのだから




もしあの頃のあたしなら

きっとすぐさま

結のことを殺していた

躊躇いもなく一気にグサッと




でも殺さなかった

「あたしが言っていた場所に行こう」と

誘っただけ

結は何も言わずただ頷いた





…殺さなかったんじゃない

きっとあたしは

…殺せなかった





結のことを

誰よりも大事に思う

特別な存在だと信じている


結なら絶対に裏切らないと

根拠のない自信を信じている






あたしがいるから―――――










< 93 / 179 >

この作品をシェア

pagetop