キャラメルに恋して




「え…、あぁ。最初から買わないつもりだったし」


「ふ~ん……」



当たり前のように言う私に、隼人は少し戸惑っているようだった。


男の子って、見るだけ……とかしないのかな。


恋愛経験が少ないだけに、そういう事は分からなかったりしちゃうんだよね…。


そんな事もあって、私の恋愛の教科書は、愛読している雑誌と麻耶だったりする。



「ひな、買ってあげようか?………これ」


「はい?」



にっこり笑う隼人の手でブランブラン……と揺れているのは、目がボケ~っとしているカッパの人形さん。



「なんか、これ……ひなみたいじゃん?」


「ひっ、ひどい――っ!!」



たしかに、ちょっとは可愛いと思うけど……全然似てないよ~!!



「じゃあ隼人はこれね~」


負けじとゆるい人形を探す私の前に現れたそれは、隼人そのもの。


「はぁ?ヒド……」


「みてみて!!この髪の色とか……隼人っぽくない?」



ふわふわと触っては力説するけど、隼人は聞いてくれない。




「だって似てんだもん……、隼人とアルパカ!!」





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