能あるイケメンは羽目を外す
「専務……そんな勝手な事……」

陽斗の顔が近づいてきて私は怯む。

「勝手なのは楓だよ。俺を誘ったのは楓だ。俺を夢中にさせた責任は取ってもらうよ」

逃げるのは許さない。

陽斗は冷たい目でそう告げると、私の唇を奪う。

熱い……。

伝わる彼の熱。昨日のキスと重なる。

こんなの狡い。どうして私の世界に入ってくるの?

どうして思い出させようとするの?

冷たいキスをされると思ったのに、陽斗は情熱的なキスをしてきた。

「は……ると……」

陽斗の名前を呟くと、彼は満足げに微笑んだ。

「それでいい。俺達はまだ始まったばかりだよ。終わりなんかじゃない」

陽斗がもう一度私に口付けようとするが、急に悪寒がして気分が悪くなり身を屈めた。

気持ち悪い。頭がフラフラして視界が霞んでくる。
< 50 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop