あの日のきみを今も憶えている
あれから数日。
もう日常生活に戻ってよいとお医者さまから許可を頂いた時には、学校は夏休みに突入していた。


必要のない、存在を忘れ果てていた通知表と宿題の山をわざわざ家まで届けに来た担任を、私は許さない。
両親にこっぴどく叱られたうえ、塾に放り込まれかねなかった。

高校生にもなるのに、夏休みのドリルを買い与えられた。
泣ける。

いや、もっと勉強しろって話ですけどね。
ええ、分かってます。
バカでごめん。


「明日から、学校行くよ」


放置してもいられない宿題をしながら私が言うと、ベッドの上に寝ころんでテレビを観ていた美月ちゃんが「え!」と声を上げて起き上がった。


「どうして? 明日は出校日だっけ?」

「ううん、違う。私、美術部でしょ。夏休みの間に文化祭用の絵を描きたいから、毎日通うんだ」

「へえ、そうなんだ! え、じゃあ久しぶりに学校に行けるんだね」


美月ちゃんは嬉しそうに笑った。

私と美月ちゃんは、大した問題もなく共同生活を営んでいる。
特に不便なところは、今のところない。
美月ちゃんは私から3メートルほどの距離なら離れられるらしく、お風呂もトイレも一人で入れる。
美月ちゃんはやっぱりというべきか家族の誰もが見えないので、何を言われることもない。

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