友達
友達
「友達?」
 キスしようとした僕に、花は聞いた。
「……友達、だよ」
「そう、なら、いいわ」
 花は僕の腕の中で、微笑んで、目を閉じた。

 いつもそうだ。
 花は、僕とのセックスの前に、必ずこう聞くんだ。

 僕たちは、友達であることを確認して、カラダを重ねる。

 花は、魅力的な女性だ。
 僕は、彼女に夢中だ。
 笑った顔も、色っぽいカラダも、ちょっとワガママな喋り方も、僕の心を捉えて離さない。

「じゃあ、またね」
まるで、同性の友達と別れるように、彼女は手を振って、改札を通っていく。
僕はその後ろ姿をぼんやり見送って、少し遅れて、改札を通る。

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