「素直じゃなくて、悪いかよ。」


なのに、どうしてこんなに痛いのかな………。



「茉林ちゃん?」



心配そうに顔を覗き込んでくる。



分かってるよ……。一佳ちゃんが、意地悪でこんな事聞いていないって。



好きだから心配なんだよね。



「ごめん、大丈夫だよ」



「なにしてんの、二人とも」



突然後ろから現れた雨。



「酒井くん!」



喋っている二人を見てまた胸がギュッと締め付けられたように痛くなってきた。



「私、帰るね。バイバイ」



それだけ言うと後ろも振り返らず痛みが消えるように思いっきり走った。
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