溺愛ドクターは恋情を止められない

「松浦ちゃん。打ち込むから、カルテ表示しておいて」

「はい」


小谷先生が担当した患者のIDを確認して、キーボードを叩き始めると、「はぁ。過酷」と大きな溜息をついた先生は、コーヒー片手に隣にどさっと座った。


「お疲れ様です」

「そんな風に言ってくれるのは、松浦ちゃんだけだよ。皆、働け働けのオンパレード」


クスクス笑う彼は、ブラックコーヒーを口にする。


「お疲れの時は、甘いコーヒーを飲まれては?」

「あはは。松浦ちゃんって、高原みたいなこと言うんだな」

「えっ?」


高原先生の名前が出て、一瞬ドキッとする。


「アイツ、疲れた脳には糖分をと、いつも言ってる。まぁ、それがアイツのプロ意識の高さなんだろうけど」


高原先生と小谷先生は、同期ということもあり、仲がいい。
< 106 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop