溺愛ドクターは恋情を止められない

「松浦……」


あの時の目。
公園で私に触れたあの時の。

触れられている腕が途端に熱を帯びてきて……たちまち全身に熱を移す。
視線を絡ませたまま、それ以上なにも言わない彼は、やがて私の腕を離した。


「いや、ごめん。本当に今日はありがとう」


やっと、酸素が肺に入ってきた。
彼に見つめられると、うまく息を吸うことすらできなくなる。


「はい。それではまた病院で」


そう言うのが精一杯だった。

今度こそ本当に車を降りると、一瞬、私に熱い視線を投げかけた彼は、車を発進させた。

小さくなっていくアウディを見つめながら、動けなくなった。


私、高原先生が好き。
彼が離れて行くのが、こんなにも辛い。

公園で触れられた頬に、無意識に触れていた。

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