溺愛ドクターは恋情を止められない

緊張しながらソファに座り、辺りをキョロキョロ見回していると、先生はさっき買ったカクテルとグラスを持ってきてくれた。


「どれにする?」

「あっ、あのっ……」


この部屋に足を踏み入れた瞬間から、胸がドキドキと激しく打ち始め、今に至る。
男の人の部屋でふたりきりでお酒を飲むなんて、やっぱり……。


「大丈夫だよ。襲ったりしない。職場の同僚にそんなことしたら、クビだろ」


先生は自分の喉に手をかざし、切る真似をしてみせる。


「……はい」


それはそうだけど。


「あーでも、小谷は気をつけろ。アイツはいいヤツだけど、女癖だけはどうも」


私をリラックスさせてくれようとしているのかもしれない。
クスクス笑うと、「俺はこれ」とコーラを手にした。


お酒、飲まないの?
< 36 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop