紫の月が浮かぶ夜
あたりは暗くなりたちまち人の気配が少なくなっていく。

もうすぐ深夜と言うところだろうか。

「………ってめっ!どこ見てんだよ!」

「あ?お前こそどこ見てんだよ」

聞こえてくるのはよった不定浪士の喧嘩の声だけ。

それも目の前でおっ始めるのだ。たまったものではない。

「ちょっと、お兄さん方ここでの喧嘩はよしてくださいよ。やるなら他の場所で…」

「っるせー!手ぇだしてんなや」

「ー。じゃあそこどいてよ。俺喧嘩に巻き込まれるのとか嫌なんだけど」

「んだと、坊主。」

男が刀を抜いた。

「ちょっと落ち着いてよ。俺刀使えないからさお願いだから」

「問答無用ー!」

男が刀を振りかざしてきたので急いで刀を抜き受け身をとった。

「っぶな。お兄さん俺刀触れないからさ
間違って殺しても呪わないでね。」

男の刀を押しのけ鞘に刀をしまう。

「どうした、もう終わりか?」

俺は、鞘のまま刀を握り男の鳩尾に突き立てた。

「ゔぅっ!」

軽く悲鳴を上げて倒れた。

ザッッ。

「その人君がやったの」
突然、浅葱色の羽織を羽織った人が出てきた。
「…………うん。」

「ちょっと屯所までついてきてね。」

「え、やだ。」

「…いいから黙ってついてこいよ」
その人の殺気が凄くて逃げ出せなかった。

「……………」

俺は、その人についていった。
< 8 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop