空色canvas
「そのとき彼女にもう一言つけ加えた。
“絵は心で描くものだよ”とね…」
「………」
『絵は心で描くものだよ…心を表すものなの』
あの日、汚れのない透き通る瞳でサヤは俺にそう言った。
心を表すもの…
「それからサヤちゃんは晴れの日に限って絵を描いた。花だったり動物だったり…
私の似顔絵を描いてくれたこともあった」
先生は思い出したのかクスッと笑った。
「そして今、サヤちゃんはあのとき私に描きたいと言った空を描いているんだ…」
どこまでも透き通った青空にふんわりと浮かぶ雲の絵…
そして先生の表情はそのまま穏やかな笑顔へと変わっていく。