死んでもずっと友達だよ
お父さんの鉄工所の経営が上手くいかなくなってから、お父さんとお母さんは喧嘩ばかりするようになった。




口汚く罵り合うお父さんとお母さんを見て、お金がないことは悪なんだと私は思った。




お金がなくても、愛さえあればなんて言葉は、絶対に嘘だと私は思う。




お金がなくなって、生活が成り立たなくなれば、愛なんていう形のないものは、跡形もなく消え去っていく。




私はそんな現実を見て、幸せな家庭に憧れた。




幸せな家庭の中にいて、愛される私。




私は自分の部屋の中で、そっと目を閉じ、そんなことを想像してみる。




私には優しいお父さんとお母さんがいて、愛されている自分には明るい未来がある。




私は笑いながら、きっとお父さんとお母さんに話しかけるだろう。
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