あの日の雪を溶かすように
「オラ、謝らねぇか。拓。」

「…すいませんでした。」
襟を掴まれたまま男は頭を下げた。

「ちょっ!ちょっと待って!困るから!
お客さんもいるし…!」
アリスは急いで頭を上げさせる。

「コイツ、俺の弟なんだ。」
片山が襟を離して言った。

「弟…?」
アリスが聞き返す。
金髪の男は申し訳なさそうに下を向いていた。

「三日前、コイツが家に帰ってきて、
急に人轢いて逃げてきたって言いやがって…
警察に行くことも考えたんだけどさ…
とりあえず様子見とくことにしてたんだ。
そんで昨日ココに来て、アンタの友達にアンタが当て逃げに遭ったって聞いて、
まさかと思ったけど…」
片山はもう一度彼の弟の襟を掴んだ。


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