マシュマロな彼
●ココロ

・寒い風





それから、私は雪と恋ちゃんが保健室に消えていくのを見届けてから



下駄箱へと足を急いだ。




そうじゃないと、目に溜まった涙が溢れてしまいそうだったから…。



―――――タッタッ




誰もいない、放課後の静かな廊下を、できるだけ……できるだけ速く走る。


何度もこけそうになった。


だけど、今止まったらダメだから…。



もう、前なんか見てられなくて、ずっと下を向いて走っていた。




その時、



―――――ドンッ



「きゃっ……」



急になにか硬いものにぶつかってしまい、弾かれた。



勢いでしりもちをついてしまった私。




そんな私に



「大丈夫?」



そう言って手を差し伸べるのは…………










「雄也くん…」






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