マシュマロな彼




「も~っ、知らないよ」



被っていた布団を雪に投げつけ、イスから立ち上がった。



頭の上が引っ張られるような感覚がして、触ってみると髪の毛が静電気で逆立っている。


あ~…もう…。


ふいに鏡に映った自分に目を向ければ、真っ赤な顔でボサボサの髪の毛。


それに加えて、口はアヒルみたいに尖がっちゃってる。



……なんだこれ。



いつもポーカーフェイスの私も、雪といるときは表情が豊になってしまうらしい。


だって、前まであからさまに口なんて尖がらせなかったし……。


いい事なんだろうか……?




そんな事を思いながらも、まだクスクス笑っている雪を見下ろし、口からため息を吐き出した。






< 229 / 281 >

この作品をシェア

pagetop