30分の待ち時間
学校







次の日。

いつも通り用意して、いつも通り満員電車に揺られ、いつも通り学校へ向かう。



だけど、何だか物足りない。

いつも通りのはずなのに。

何かがない気がして、寂しくなってしまうのはどうしてだろうか?





「おはよう鈴」




机に座ってボーッとしていたら、前の席の葉月が話しかけてきた。

ふわふわと風に揺れる栗色の髪が、やっぱり可愛らしい。




「……おはよう、葉月」


「どうしたの?何か元気ないね。
私で良ければ話聞くよ?」




あたしの自分でも気が付かない異変に、誰よりも早く気が付く。

…やっぱり幼馴染だなって思う。

隠し事が出来ない気がするもの。




「……実はね葉月。
あたし、葉月にずっと隠してきたことあるんだ」




やっぱり言わないと駄目だ。

葉月は海先輩が好きだって言ってくれたんだもの。

あたしは葉月が好き。

…勿論友達として。



だからちゃんと言わないと。

ちゃんと向き合わないと。








< 54 / 69 >

この作品をシェア

pagetop