好きで、言えなくて。でも、好きで。
酒は飲んでも呑まれるな
警視庁、組織犯罪対策課。


通称、組対(ソタイ)と呼ばれる部署に所属する3人が言い合いながら廊下を歩いていた。



「早乙女、お前、ありゃーやり過ぎだ。乙女って付いてんだからそれらしくしろよ。」



最近来た部下をたしなめる、賭狗膳梅夫(トクゼン ウメオ)巡査部長。



「それは申し訳ございませんでしたね、梅夫さん!」


「てめっ!下の名前で呼ぶなっつたろーが!」



教育係&上司である賭狗膳の嫌味をガッチリ受け止め、嫌がらせで返す早乙女碧粉(サオトメ アオコ)警部補。



「トクさん、それらしくはセクハラですよー」



そんな年上2人を見ながら、軽ーく突っ込む吹蜂威叉奈(スイホウ イサナ)巡査部長。



賭狗膳は48歳、早乙女は43歳なのに、29歳の威叉奈の方が大人に見えるのは、いかがなものか。


課長の尽きない悩みの種である。



「ピーチクパーチク煩いな。もう少し静かに出来ないもんかね、ソタイさんはよう。」


「ムチャ言うなよ。そんな気遣い、ハードルが高いって。」



そばの捜査一課の部屋から、小馬鹿にしたような声が聞こえる。


実際小馬鹿にしているようだが。
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