好きのカタチ

2

 その次の、私はいつも通りなこちゃんと下校していた。
あの事は私の中から消えなかった。
自分に対しての怒りと佐藤くんに対しての怒り。それに、寂しさや悲しさ色々混じってしまっていた。





くだらない、話をしながら私は笑って歩いていた。何もないように。なかったかのように。


ふと、曲がり角から人が現れた。
二人だろうか。




私は一瞬、息が止まるかと思った。




佐藤くんだった。
その、例の先輩と楽しそうに歩いていた。


佐藤くんはこっちをみると、凄く驚いた。




「ねぇ?龍くん。誰?このこ。」




「え……あっあぁ。前言ってた…………」




「えぇ?このこが元カノ?案外地味なこが好みなんだね?龍くん。」





「いや…………別にそういうわけじゃ」





なんだか、口ごもってる佐藤くん。
私なんてどうでも、いいんでしょ?
なんで、そんなに冷や汗かいてるの?



「いや…………そのこれは…」
佐藤くんは少し焦ったように私に言い訳する。

なんで?なんで言い訳するの?
私には分からないよ。
それとも、私がまだ佐藤くんの事諦めてないと思ってるのかな。



ばっかじゃないの。 







「佐藤くん、部活頑張ってね。」




私はその時、誰にも見せたことないような
満面の笑顔だった。





佐藤くんは怖かったみたいで、そのまま
私の横を走っていってしまった。



よかった。
私、佐藤くんを応援できた。




< 19 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop