コンプレックス







 嫌いなところばかりが目について、苦しい。だから、俊輔が何故私に告白したのかわからない。


 逃げてしまおうか、と思った私に「馬鹿だなお前」と。

 馬鹿?
 馬鹿ってなんだ!



「知ってるよ、そんなの」
「……は?」



 思わず顔をあげてしまった。
 俊輔は重かったのか鞄を地面に下ろす。



「見ればわかる」
「ちょっと」
「コンプレックスだなんて、誰だってあるだろ」
「それはまあ、そうだけど」
「その人の欠点が気に入らないなら、最初から好きになんてならないって」
「でも」
「あー、わかった。わかった」
「なにが」



 癖なのか、頭を軽くかきむしりながら「俺は」という。



「まな板でも小顔じゃなくても考え方が古くさくても、そんな真希のことが好きなんだ」



    《コンプレックス》



 言い切った俊輔が、とてもかっこよく見えて、それで私はといったら、ものすごく嬉しかったが――――恥ずかしくて堪らなくて、まともに顔が見られないのはどうしたものか。






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