浦和生まれと柏生まれの恋
一目惚れをしたんだ。

だから、こんなにドキドキしてるんだ。

でも、だからと言って、このまま話しかけずに終わるなんて嫌だ。

だって…初恋をしてしまったんだから。
さあ、話しかけるんだ。

「あ、あのぉ」

俺は早鐘をうつ胸のドキドキに負けずに、少女に声をかけた。

「はい」

少女はそっと俺の方に顔を向ける。
可愛い。

「もしかしたら、柏ファイヤーズのファンの方ですか?」

俺はそう聞いてみた。本当は君のことが好きだと言いたかったけど、初対面でそんなこと言われたら驚くと思って…。

「はい、そうです。私、柏ファイヤーズのファンです」

明るい声でそう答える少女に、俺の胸は更に高鳴った。そして、俺はとっさに

「俺、柏ファイヤーズの中林竜介です!」

と言ってしまった。そしたら少女は、

「え!?柏ファイヤーズの選手なんですか!?すごい!」

と嬉しそうに言った。

「あの、俺のこと、知ってますか?」

「え?えっと…。ごめんなさい、知らなかったです」

「あ、あ、そうなんですか…。そうですよね、知らなくて当然です。だって俺、つい最近、ユースから昇格してきたものだし…」

「そうなんですね」

「はい…あ、そうだ!あなたの名前は何て言うんですか?」

俺は少女に聞いてみた。

「私の名前は中宮梨沙です」

と少女は言った。

そして、

「ちなみに何歳ですか?」

と俺が聞くと、

「16歳です」

と答えてくれた。

この少女の名前は中宮梨沙。歳は16歳。

何だか、さっきよりも親しくなれた気がした。

ああ、梨沙と呼び捨てで呼びたいけど、言葉には出せない。
初対面だから失礼だよね…。

でも、心の中では梨沙と呼ぼうと決めた。俺が少しボーッとしていると、

「中林選手は何歳なんですか?」

と、梨沙が聞いたので、

「俺は20歳です」

と答えた。そして、俺は、

「あの、もし迷惑じゃなければ、君のこと梨沙ちゃんって呼んでもいい?あと、俺のことも中林君とかで呼んでくれるかな?それと、もっと気軽に話しても大丈夫だよ」

と言った。本当は梨沙って呼び捨てで呼びたいけど、それはまだ早いよね…。あと、俺のことも下の名前で呼び捨てしてほしいけど、初対面で早いと思われちゃうよね…。また、ボーッとしていると、

「うん。わかった」

と梨沙が微笑んでくれた。
俺の胸は、また高鳴った。

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