君色メモリアル**
屋上に着くと、女はまだ携帯を探していた。
そこにはねーよ。
俺が持ってんだし。


「ないなー。もう諦めて帰ろっかな。」


「探してるのってこれ?」


俺がこう言うと女はお礼を言ってきた。
一応落ちてた場所を伝える。

思い当たる節があるようで、1人で唸ってた。
なんかおもしれーな。


「そうなんだ。本当にありがとう。私は紀野彩音って言うの。よろしくね!あなたの名前を教えて!」


目を輝かせて言ってくる。
けど俺は言うつもりなんてない。
どうせこいつも、俺の顔しか見てねーんだから。


結局あれから何度も聞かれ、その度に断った。
こんなしつこい女、なかなかいねー。


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