漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】

あの時、母さんを失う事になるだなんて、考えてすらいなかったのが親父の過ちだとしたなら、


俺は、親父のような過ちは絶対にしないと誓おう。


俺は、彼女が居てくれてる事が当たり前だなんて思わない。


むしろ、今茉弘が側に居てくれてるのは、奇跡だと思っている。


いつ彼女が俺の側からいなくなっても可笑しくはない、儚い奇跡だ。



だから俺は、茉弘を闇の世界に引き込む罪を死ぬまで忘れはしないだろう。


どんな事があろうと、自分の命に代えても、彼女を守る。


この儚い奇跡を守り続ける。



例えばこの先、彼女と居られない未来が待っていようとも…。




もし、それすらも罪だと言うのなら、どんな罰でも受けてやるよ。




それで彼女が、俺の側に居る事を幸せだと思ってくれるのなら。


彼女が、笑顔でいられるのなら…––––





「茉弘。好きだ」


「…っ…うん…」




「俺の側にいて。この先、何があろうとも守ってみせるから」



「うん…。あたしも…恭が大好き。守られてるだけなんて嫌だよ。あたしも、強くなるから」


茉弘のその言葉に、弾かれるように彼女を見る俺。


そんな俺に、


「何?あたし何か変な事言った?」


そう言って首を傾げる彼女を見て、俺はははっと笑いが込み上げてくる。



そうか…。


茉弘はそういう子だったよな。


ただ、守らせてくれるような子じゃなかった。
< 343 / 347 >

この作品をシェア

pagetop