漆黒の闇に、偽りの華を②【完結】
あの時、母さんを失う事になるだなんて、考えてすらいなかったのが親父の過ちだとしたなら、
俺は、親父のような過ちは絶対にしないと誓おう。
俺は、彼女が居てくれてる事が当たり前だなんて思わない。
むしろ、今茉弘が側に居てくれてるのは、奇跡だと思っている。
いつ彼女が俺の側からいなくなっても可笑しくはない、儚い奇跡だ。
だから俺は、茉弘を闇の世界に引き込む罪を死ぬまで忘れはしないだろう。
どんな事があろうと、自分の命に代えても、彼女を守る。
この儚い奇跡を守り続ける。
例えばこの先、彼女と居られない未来が待っていようとも…。
もし、それすらも罪だと言うのなら、どんな罰でも受けてやるよ。
それで彼女が、俺の側に居る事を幸せだと思ってくれるのなら。
彼女が、笑顔でいられるのなら…––––
「茉弘。好きだ」
「…っ…うん…」
「俺の側にいて。この先、何があろうとも守ってみせるから」
「うん…。あたしも…恭が大好き。守られてるだけなんて嫌だよ。あたしも、強くなるから」
茉弘のその言葉に、弾かれるように彼女を見る俺。
そんな俺に、
「何?あたし何か変な事言った?」
そう言って首を傾げる彼女を見て、俺はははっと笑いが込み上げてくる。
そうか…。
茉弘はそういう子だったよな。
ただ、守らせてくれるような子じゃなかった。