俺のそばから離れるな‼︎
season*4

恩人



「どこに向かってんだ?」



あのあと再び歩き出した私たち。


いくら言っても、手だけは離してくれなかったから手を繋いだまま歩いている。



「私の家だよ。今日は多分、お父さんとお母さんは当直で家にいないから」



ゴールデンウィークは今まで毎年そうだった。


休日出勤でほとんど家に帰って来ず、5月の連休に遊びに行った記憶はない。



「実家に泊まる気かよ?」



「当たり前でしょ。他にどこで寝る気なの?」



「ホテルとか」



奏はサラッとしれっと答えた。



「い、嫌に決まってるでしょ!」



何考えてんのよっ!



「なんでだよ?」



「行きたきゃひとりで行ってよね」



だいたい、泊まりプランなら最初からそう言ってて欲しかった。



「なら行かねーよ。さくらんちでガマンする。けど、手ぇ出さねーって保証は出来ねーけど」



「は、はぁ?」



今までずっと一緒に寝といてよく言うよ。


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