深愛なる君へ、この愛を捧げます。




ここの海は私にとって人生の分岐点でもあり、最高の思い出が詰まった場所。




そしてあの夕日は今でもすぐに頭に思い浮かべることができるほど、脳裏に焼きついて離れない。




あの海に浮かぶ夕日のように、綺麗に美しく、誰よりも輝く人になって欲しい。




そういう意味を込めて、愛娘を『日海』と名付けた。
私が考えたんだけど、その私よりも理人がこの名前を気に入っていた。




「…ま、…ママ…ママ!」


「…日海?」




思い出に浸っていたら、日海に呼ばれていることに気付くのが遅くなってしまった。
日海は私の手を握って、左右に揺すっていた。




「しゃしん!しゃしんとって!」


「あ、写真ね。分かった撮るよー」




私はスカートのポケットからスマホを出してカメラを起動する。




日海は海に足が浸かった状態で私の方を向き、ピースして笑った。




ピントを合わせているとスマホが急に暗くなり、『充電してください』と表示され、そのまま電源が切れてしまった。




「あ、電池切れた…」




まさかの災難でも、ふっと笑ってしまった。




だってこれはもしかしたら、『三人で写真を撮りたい』って理人が思っているのかもと思ったから。




私もそうだけど、理人はやりたいことを先にやられると子供みたいに拗ねるからな。




「ママ?しゃしんは?」




一向に写真を撮らない私を気にして、日海は私のところに駆け寄ってきた。





「ママのスマホが眠たいって寝ちゃったから、写真はパパとママと日海の三人で来た時に撮ろっか」




そう日海に言えば、日海はしばらく考えてから笑顔で頷いた。




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