深愛なる君へ、この愛を捧げます。




家に帰る頃には日もすっかり落ちて、太陽と交代するように月が見えていた。




車を停めて降りると、助手席に回り眠っている日海を抱き上げる。 




海から家に帰る途中、さすがに1日はしゃいで疲れた日海は爆睡。




「…日海、今日はありがとね」




私に1日付き合ってくれた日海にお礼を言いながら、玄関に向かう。




そしてすぐに変わったことに気づく。




…家の電気、真っ暗だ。
いつもこの時間ならお義母さんもお義父さんもいるのに。




玄関の外の電気しかついてない。
家の中は全く電気がついていなかった。




首を傾げながら玄関を開ける。




「た、ただいま帰りましたー…」




電気をつけても、声をかけても家の中は静まりかえっていた。




どこかで外食してるのかな、なんて思いながら靴を脱ぐと背後にある玄関が突然勢いよく開いた。




「あ!ここにいたの!」


「お母さん!?」




息を切らしてやって来たのは、私のお母さんだった。
その様子からしてすごく慌てているのが分かる。




「携帯に何度も連絡したんだよ!なんで折り返してこないのよ!」


「あ、スマホ電池切れちゃって…」




苦笑いすると「もうバカ!」と言われてしまった。




そんなに慌ててどうしたの?
そう聞く前に、お母さんは口を開いた。




「落ち着いて聞いてね、理人くんが…」




お母さんの言葉に私は落ち着いてなんかいられなかった。




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