あのね、先生。-番外編-
「だから大丈夫」
何を不安になってたんだろう。
それも、突然。
「またみんなで来よう」
こんな機会が次に来るのはいつなんだろうって考えてしまった。
そうだよね。
もう二度と来られないわけじゃない。
学生時代と違ってその機会が減るのは仕方がないことだけど、なくなるわけじゃないんだよね。
「あ、でも、先生って呼ぶのはほんとに今日だけだよ?」
「何で?」
「前にも行ったけど、とっくに卒業してんのに悪いことしてる気分になんの」
蓮くんは困ったように笑ってそう言ったあと、あたしの頭をポンと撫でた。
「あたし、まだ生徒に見える?」
あたしの言葉に蓮くんは少し躊躇ったよに、その上少し照れたように言った。
「何言ってんの」
月の光が海に反射して、蓮くんの顔を照らす。すごく、綺麗。
「あのときからずっと、生徒に見えないから困ってたんだよ」
-END-