あのね、先生。-番外編-

「だから大丈夫」

何を不安になってたんだろう。

それも、突然。

「またみんなで来よう」

こんな機会が次に来るのはいつなんだろうって考えてしまった。

そうだよね。

もう二度と来られないわけじゃない。

学生時代と違ってその機会が減るのは仕方がないことだけど、なくなるわけじゃないんだよね。


「あ、でも、先生って呼ぶのはほんとに今日だけだよ?」

「何で?」

「前にも行ったけど、とっくに卒業してんのに悪いことしてる気分になんの」

蓮くんは困ったように笑ってそう言ったあと、あたしの頭をポンと撫でた。

「あたし、まだ生徒に見える?」

あたしの言葉に蓮くんは少し躊躇ったよに、その上少し照れたように言った。


「何言ってんの」

月の光が海に反射して、蓮くんの顔を照らす。すごく、綺麗。

「あのときからずっと、生徒に見えないから困ってたんだよ」

-END-
< 131 / 237 >

この作品をシェア

pagetop