あのね、先生。-番外編-

「それにしても、白城くんのとこと中村先生のとこがほとんど同じ時期に結婚するなんて思わなかった」

シロと梨花が結婚することになったと報告してきた一週間後に、中村さんは「そういえば俺、結婚する」なんてサラッとしたセリフを結婚を報告してきた。

中村さん、あたしが報告したときは急すぎるだろ、なんて言ってたくせに、自分も大して変わらないからね。


「生徒にもバレちゃって今大変なんだよ」

「え、バレちゃったんだ」

「うん、うっかり生徒に言っちゃった先生がいたみたいでさ。俺も中村先生と仲良いからってすげー聞かれんの」

困ったように笑ってるけどきっと、むやみに生徒に話したりしてないんだろうな。


「何、中村さん生徒に内緒にしてんの?」

「別に隠してるわけじゃないと思うんだけど、自分から言い出すような人じゃないしね。他人の口から言うのもどうかと思うし」

まあ確かに中村さんは自分から結婚のことなんて話さないよね。

聞かれても適当に誤魔化しちゃいそうだし。


「前から付き合ってるって噂はあったけど、中村先生がずっと否定してたからいつの間にか消えたんだよね。その手前、言いにくいっていうのもあるんじゃないかな」

「ああ、そういえば俺が結構前に学校行った時も中村さん質問攻めされてたわ」

「あのときは本人も結婚するなんて思ってなかっただろうし」

そんなことがあったんだ。

確かに最初は中村さん、吉野先生のこと好きになりそうな可能性も見えなかったけど。

ましてや結婚なんてそんな。


「しなさそうだったもんね、結婚」

あたし心配だったもん。
< 230 / 237 >

この作品をシェア

pagetop