俺様紳士の恋愛レッスン
「話戻すぞ。んで、その日から今に至るまでずっとエンの家にいるってことか?」

「うん、気付いたらそうなってた」

「正式に付き合うって話はしたのか?」

「好き、とは言われたけど、付き合おうとは言われてないかも……」

「それがなあなあになった一番の原因だ。スタートとゴールをはっきりさせること、これは何においても重要だ」

「ナルホド」



思い返せば私自身、始めは「これって付き合っているのかな?」と疑問だった。

けれどいつしか「こんなものか」と勝手に納得し始めて……。



「次、相手の収入」

「……私の半分くらい」

「相手の好きな所」

「…………優しいとこ、かな」



容赦の無い尋問に答える度、苦さを増す口の中。

引きずり出された後ろめたい気持ちを、いいから噛み潰せと言われているような気分だ。



「で、まるっと6年か」



ひと通りの尋問を終え、しばしの沈黙。

思い出したかのように、店内は喧騒を取り戻した。

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