俺様紳士の恋愛レッスン
「はぁ」



風呂場の鏡に映る自分に、ため息を送る。



「今日、マスカラしてなかったんだ……」



こんな顔で片柳さんと会ってしまったのかと思うと、後悔の念が倍増する。



「萌、ゴメン。やっぱ無理だよ」



私は、恋をすることを忘れてしまった。

青春の時間は全てタカちゃんに捧げてきてしまったから、私の中にある『男の人』は、タカちゃんだけ。



「もしも片柳さんと付き合ったら……」



想像してみる。



「いっ、いや! 無理! あんなイケメン間近で見続けたら死ぬ!」



膨らむ邪念を振り払うように、シャワーのハンドルを思いきり捻った。

しかし降ってきた水は想像以上に冷たく、思わず後ろに飛び跳ねた。



「っふぁー、ビックリした!」



バクバクと跳ね上がる心臓に手を添えると、その振動に触れて、昼の出来事が蘇る。

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