好きだからキスして何が悪い?
俺だけじゃなく、パープルの皆にとって、音哉はカリスマ的な存在。

そんな彼の右腕みたいな位置にいられることが嬉しかったし、誇りみたいに思っていた。


──しかし、その関係は2年ほどで崩れてしまうことになる。


いつの間にか、俺も音哉と同じように仲間から慕われていて、次期リーダーと言われるまでになっていた。

そんな中3の春、パープルのことを目の敵にしていた他校の奴が、俺にケンカを売ってきた。


『音哉って、不倫相手の子供なんだって? そんな出来損ないのヤツがリーダーなんて、たいしたことねぇな』


バカにするように言われたその一言で、俺は完全にキレて、そいつをボコボコにしたのは言うまでもない。

しかしその相手が、親父が働く会社の専務の息子だったのは運が悪かった。


親であるその専務がウチに怒鳴り込んで来て、俺は動揺もせずしらばっくれていたのだが。

なんと、俺の親父は……


『私の息子がそんなことをするはずがない。主犯はリーダーです』


と、すべてを音哉のせいにして罪をなすりつけたのだ。

自分の評価をなんとか下げないようにするためだけに。

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