好きだからキスして何が悪い?
立ったままの琉依に目線を上げると、その整った顔が歪んでいた。


「僕達見て、ショック受けたから来れなかったんじゃないの? 僕だってずっと前から気付いてるよ、奏の気持ち」


苦しそうな顔をする琉依に、俺は小さく嘲笑を漏らした。

そうだよな……琉依が俺のことを理解してないはずがない。

もしかしたら、俺自身が恋心を自覚する前から、コイツはすでに気付いていたかもしれない。

そう考えると、菜乃と手を繋いで歩いていた時のことを弁解しようとしていた理由も、俺に気を遣ったからだとわかるし。


今さらそんなことを思いながら、質問には答えずに、祭りの時のことを話し出す。


「……あの日、待ち合わせんトコ行く直前に、パープルの奴らに捕まっちまってさ」

「えっ……パープルに?」

「この機会しかないと思って、俺はリーダーになる気はないってことと、パープルは復活させるなってことをはっきり伝えといたんだ」


しっかりと耳を傾けていた琉依は、納得したように頷いた。

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