好きだからキスして何が悪い?
空を見上げる、綺麗で穏やかな横顔を見つめながら、琉依くんが言っていたことを思い出す。


『素直な菜乃ちゃんといれば、奏ももっとラクに生きられる気がするんだ』


……なんとなく、その意味がわかったかも。

如月くんに足りないものを、私なら補ってあげられるってことなんじゃないかな。


「……私は、ずっとずっと如月くんの味方だから。どんな時も支えるから」


星の輝きを取り込んだ彼の瞳が、今度は私を捉える。

ちょっぴり恥ずかしいことも、なぜだか今なら言えるよ。


「だから、ずっとそばにいてもいい?」


確かめるように、懇願するように、じっと彼を見つめた。

時間が止まったみたいに視線を絡ませていると、右手に何かが触れる。

そして、如月くんの手が、私のそれを包み込んだ。


「今さら何言ってんだよ」

「え……」

「そんなの当然だろ。……俺が離す気なんかねぇっての」


ぶっきらぼうな言い方だけど、うっすら赤くなる頬と、しっかり繋いだ手。

彼のそのすべてが、こんな私を価値のあるものにしてくれているようで、また泣きたくなるくらい嬉しかった。

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