好きだからキスして何が悪い?
本当に、何でこのタイミングまで気付かなかったんだろう。

その人ばかり気になるって、恋愛小説ではおなじみの恋に落ちた証拠なのに!

妄想で恋愛脳を鍛えてきたはずだったのに、まったく身に付いていなかったのか……。


それより私、本当に如月くんのこと……好き、なの?

リアルで恋愛感情を持ったことが今までないから、これが本当に好きって気持ちなのか自信がないよ。

でも彼のことを想うとドキドキするし、意識していることは間違いない。

これが、恋をするって感覚なんだろうか──。


「ちょっと菜乃、どういうことなのよ!? 戻ってきなさーい!」


胸に手をあてながらぼーっとする私は、文ちゃんにガクガクと肩を揺らされても、しばらく上の空だった。



その後、結局文ちゃんに包み隠さず自分の気持ちを話した。

ひとりで悩んでも、答えなんて出そうにないし。

すごく驚いていたけど、『地味同士、案外お似合いなんじゃない?』と、最終的には背中を押してくれた

……というより、面白がっているみたいだった。


妄想ですべて完璧な王子様にばかり恋をしてきた私が、メガネクラ男子に惹かれてしまうとは。

現実は小説のようにうまく行くのでしょうか……。




< 37 / 278 >

この作品をシェア

pagetop