笑顔の裏側に
「これぐらいしかできないんですけど、他に何か作りましょうか?」

「いいや、十分だよ。ありがとう。それよりお前の分は?」

やっぱりそこに気づくよね。

お皿はすべて先生の前に置いてあるし。

全然食欲がない。

無理やりにでも入れれば、昨日のように気持ち悪くなるだろう。

とりあえず水分は取ってるし、食べられそうな時に少しつまめばいいかなと思っ
て準備をしていない。

「まだ食欲ないんです。」

そう言うと途端に表情が鋭くなる。

そして私の額に触れた。

「まだ熱あるだろ?」

「いいえ。もう平気です。」

そう言うと立ち上がって体温計を持ってきて私に差し出す。

「計って。もう一度俺の前で。熱がないならそれでいいんだから。」

私は仕方なく測った。

朝測ってから約1時間。

少し動いたから多少上がっているかもしれないが、あまり変わらないだろう。

少しの沈黙が重苦しい。

体温計が鳴って表示を見ると、37.8。

まあ、妥当だろう。

「何度?」

そう問いかける先生に体温計を見せる。

「大丈夫じゃないだろ。」

先生の表情は強張っていた。

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