笑顔の裏側に
どれくらい抱き合っていただろう。

泣き疲れたのか麻生は俺に体重をあずけて眠っていた。

規則正しく肩が上下していた。

まだ体調だって悪いのに、無理させちゃったな。

そっと抱き上げてベットに寝かそうするが、俺の服を麻生がガッチリと掴んでいて離さない。

それを見るとつい微笑んでしまう。

それだけ俺に心を許してくれたということだろうか?

そっと離すと、麻生の顔は真っ赤だった。

慌てて額に手を当てる。

すると今朝よりも熱かった。

熱が上がってしまった。

俺が無理させたから…。

麻生をベットに寝かし、愛ねえに電話をかける。

「どうしたのよ?うまくいった?」

楽しそうに構ってくるが、今はそれどころではない。

「麻生の顔が真っ赤で、熱が

「今すぐ行くわ!」

俺が言い終わる前に電話を切ると、すぐに愛ねえがやって来た。

持っていた袋を机に置いてすぐに消毒をして診察に取り掛かる。

さっきまでのおちゃらけた姉とは違って真剣な医者の表情だった。

診察の時間なんて数分なのにやたらと長く感じる。

大丈夫だろうか?

愛ねえの表情を伺うが、よく分からない。

「大丈夫よ。熱が上がっているだけ。少し疲れたのね。」

そして冷えピタを持って来て、麻生の額に貼っていた。

良かった。

大事に至らなくて。

「それでどうなったのよ?」

診察が全て終了し、ここぞとばかりに瞳を輝かせて聞いて来る。

俺は思いが通じ合ったとだけ伝えるはずだったが、その後愛ねえに根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもない。

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