笑顔の裏側に
「なあ、もしかして体調悪い?」

先生の言葉にドキリとした。

なぜそれを分かったのだろう。

ただ頭痛がするだけなのに。

「体がいつもより熱い気がするんだけど?」

そう言って私の額に手を伸ばす。

先生の手はひんやりとしていて気持ち良かった。

「なあ、熱あるんじゃないか?」

先生は私に鋭い視線を向ける。

やっぱり熱あるんだ。

実際に測ったわけじゃない。

測って熱があったときに余計に辛くなるから。

病は気からっていうのかな。

熱があるって思った瞬間、一気に体が重くなる。

でも測らなくたっていつもよりぼんやりとする頭がそれを物語っていた。

「大丈夫です。」

気まずくなって視線をそらしながら、答える。

でもこんな答えじゃ先生はひかない。

分かっていても今の体調じゃ頭が働かない。

「優美、こっちを向け。」

そう言われても顔を上げずに黙っていると、先生は私の両腕に手を置いて視線を合わそうとする。

「ッ…」

思わずハッと息を吸い込み、顔を歪めてしまった。

それを決して先生は見逃してはくれない。
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