笑顔の裏側に
歩side

何も言わない優美と目を合わそうともう一度そっと肩に触れた時だった。

俺の両手は勢いよく引き離される。

驚きを隠せなかった。

今までずっと抱きしめ合ってきて、何度も優美に触れてきたはず。

痛くないと強がる優美の肩に触れたが、ほとんど力は入れずそっと手を置いただけだ。

なのにどうして?

混乱する頭を必死に動かして、考える。

するとふとよみがえる異常な反応の数々。

1度目は保健室で手首を掴んだ時。

その次は応接室で。

そうして今日ーーー。

全てに共通する点は痣や傷。

つまり優美のお母さんが関係しているもので。

まさか、まだ…。

そんな不安がよぎる。

今までの優美の様子を必死に思い出す。

思い出せる限り、前のように手や顔などに傷はない気がする。

じゃあどこに?
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