笑顔の裏側に
それを見ながら、俺は先週の優美の様子に思いを巡らす。

パッと思いつくのは、進路の相談があると聞いていたのに何もないと言われた日だ。

その日は英語科準備室ではなく、進路指導室でwritingの指導もやることになっていた。

そういえば、進路指導室に向かう途中、優美が歩くスピードをいきなり落としたことがあった。

まるで俺の半歩後ろを歩くように。

そこでピンときた。

「もしかして、先週の水曜か木曜か?」

「確か家に帰ってすぐにかかってきたから‥。ああ!水曜日だわ!午前診療で早く帰れる日だから間違いない!」

やっぱり‥。

そうすれば優美の行動の意図が分かったような気がした。

普段と場所を変えたのも、俺の隣を歩かないようにしたのも、全部周りの目を欺くため。

そう考えれば、今日の優美の言動も含めて繋がるように気がする。

愛ねえにも説明すれば、同じように頷いてくれた。
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