笑顔の裏側に
「もう平気だよ。睡眠薬と安定剤も飲んでるから、落ち着いてるんだ。だから本当に大丈夫。ありがとな。心配してくれて。」

その返答に安心するはずなのに、何故か胸が騒ついた。

突き放されたように、一線を引かれたように感じるのはどうしてだろう。

答えるとまた片付けに戻ってしまう先生を見て、ふと感じる。

もう私は必要ないのだろうかと。

そんな考えが浮かび上がった瞬間、涙が溢れそうになった。

目に力を入れて、グッと堪える。

「なら良かったです。では私はこれで失礼しますね。」

逃げるように英語科準備室を飛び出した。

ここにくれば、絶対に私に触れてくれていた。

でも今日は、何もない。

それどころか見向きもされない。

何で?私何かした?

日曜日の電話の時も普通だったし、思い当たる節は何もない。

仕方なく顔を洗って教室に戻る。

教室に戻れば、悠と目が合う。

「何かあったのか?」

「ううん、何もないよ。」

それ以上は聞かないでと目で訴えると、悠は察してくれた。
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