笑顔の裏側に
今日は必要な書類を市役所に取りに行かなければならない。

もちろん悠も一緒に。

健康保険証と一応学生証を財布に入れ、書類を入れるためのクリアファイルとともにカバンに仕舞う。

準備ができたとほぼ同時で、携帯が鳴った。

表示を見れば悠からで、家に行ってもいいかというものだった。

いいよと返事を送り、1Fに降りた。

そして玄関を開ければ、ちょうど悠が門の前にいた。

「おはよう。」

「はよ。家で待っててくれてよかったのに。ありがとな。」

そのままリビングに迎え入れて、お茶を出した。

「なあ、大丈夫か?」

目の前の席に座ろうとして椅子を引いた手が止まった。

「え?別に大丈夫だけど‥」

言われている意味が分からず、困惑する。

とりあえず椅子に座った。

もしかして突然家に来たことを気にしてるのかな?

「もう午前中の片付けとかは終わってるから大丈夫だよ。だから全然気にしないで。」

「そうじゃなくて‥。」

どうやら私の考えは違ったらしい。

ますます分からなくなって首を傾げた。

「合格したこと、沙織さんに伝えたんだろ?」

その言葉にやっと悠の言いたいことが分かった。

「一応メールでね。その後返信はないし、昨日も今日の朝も帰ってこなかったから、まだ特に何も。今日の夜、書類の記入をお願いするときにでももう一回伝えるつもり。だから本当に大丈夫。心配してくれてありがとう。」

そう言えば、悠の表情が少しだけ和らいだので、安心する。
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