笑顔の裏側に
そして2限が終わると、すぐに片付け、3人に事情を話してお昼は別で摂ることを了承してもらった。

みんながドアに向かっていく中、途中でその流れから外れて悠の座る席に向かう。

隣に腰を下ろせば、気配で分かったのか、顔を上げた。

「どんどん具合悪くなってるんじゃないの?」

尋ねても答えない。

額に手を当てれば、朝よりも少し熱い気がした。

鞄を漁って体温計を渡す。

「こんなとこまで持ってきたのかよ。」

文句を言いながらも渋々脇に挟む。

その時に今の体調を聞いていく。

頭は少しましになったらしい。

だけど朝と違うのは咳が出始めたことだ。

体温計がなり、悠が取る前にサッと引き抜けば、37.6度。

「早退した方がいいんじゃない?」

体温計の表示を見せて言う。

「これから実験だろ?休めるわけねえよ。」

そうなのだ。

実験後にはレポートがあり、それを提出しなければならない。

そのため実験には原則参加で、全てのレポートを提出しなければ単位はない。

「じゃあ、とりあえずこれだけでも飲んで。」

鞄から飲むタイプのゼリーを渡す。

それをゆっくりと飲む悠を眺めながら、どうすべきかと考えあぐねていた。

飲み終わったのを見届けて、ペットボトルを渡して、薬を飲ませる。

それが終わると、椅子に凭れかかってしまう。

「講義始まるまでまだ時間あるから、休んでなよ。ちゃんと10分前に起こすから。」

そして悠の体を支えながら、横になるように促す。

私の膝に頭をのせた後、自分のコートを悠にかけた。

目を瞑った悠を見つめながら、少しでも体が楽になることを願った。
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