笑顔の裏側に
それから遅めの昼食をとって、食休みがてら、いろいろな施設を回る。

写真を撮りまくって、思う存分楽しんだ。

一通り施設を見て回ったところで、いくつかのショーを楽しんだ。

途中で夕食を済ませて、いよいよ始まるパレードに備える。

盛大な音楽を合図に、キャラクターたちが登場した。

さまざまなキャラクターたちが手を振っている。

そして歌を歌ったり、ダンスをしたりしている。

中にはペンライトを持っている人や、キャラクターに握手してもらっている人もいた。

キラキラと輝くトロッコを追いかけながら、ゆっくりと歩く。

周りの木々もライトアップされていて、赤や黄色、ピンク、緑、紫など様々な色に点灯している。

そうしてパレードも終わり、キャラクターたちはお城の中に帰っていった。

この後、お城がライトアップされる。

今か今かと食い入るように見つめるけど、なかなか変わらない。

「優美。」

名前を呼ばれて振り向いた瞬間、唇に温かいものが触れ、周りがパッと明るくなった。

ゆっくりと離された後、視界に入ったお城は、キラキラと光り輝いていて、とても綺麗だった。

青とピンクを交互に点滅させている。

切り替わるタイミングのグラデーションがまた絶妙で思わず声が漏れてしまうほど。

「ここのお城のライトがつくタイミングでキスした2人は一生結ばれる。」

「え?」

悠が隣で何か言っていたけど、お城に夢中で聞いていなかった。

「きれいだな。」

そう言った悠の横顔が切なげで。

少しだけ寂しそうに見えたのは、ライトアップのせいだろうか。

「うん、すっごく綺麗。」

笑顔を向ければ、いつも通り優しい微笑みが返ってくる。

「悠、連れてきてくれてありがとう。」

そう言って悠の肩に手をついて、少しだけ背伸びをする。

そのまま触れるだけのキスをした。

不意を突かれた悠は驚いて固まっている。
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