笑顔の裏側に
一足先にマンションに戻った私は、大掃除を開始した。

何かと忙しくてできずにいたため、この機会にと意気込んで行った。

そして3日後、悠が帰ってきて、すぐに大学が始まり、いつもの生活に戻った。

お正月に帰ったからということで、週末は悠は家にいた。

特に出かける予定もなかったので、家でまったりと過ごす。

その中で、何とか今の生活について話さなきゃとは思いつつも、なかなか切り出せない。

万が一、この生活が終わってしまったらと思うと怖かった。

このまま何もせずに知らないふりをして、この生活が守られるならそれでもいいと本気で思った。

そして何も話せないまま、週末は過ぎ去ってしまった。

それからもずっと話せないまま、気づけば1月も中旬になっていた。

今日からまた家庭教師のバイトが始まる。

そしてお母さんから食事に誘われていた。

家庭教師が終わった後、実家に帰って、お母さんと夕食を共にする。

そのまま泊まるつもりだったので、前もって悠にはその旨を伝えていた。

よかったなと送り出してくれたものの、どこか寂しげで、心に影を落としたように感じた。

それがどうしても気になって、せっかくのお母さんとの食事なのに全然楽しめない。

お母さんがいろいろと話してくれているけど、半分も聞いてなかったと思う。

たぶんそれをお母さんも気づいていたんだろう。
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