カテキョ。
学生自治会の会長の音頭で乾杯があると、貸し切りの居酒屋は本当に賑わった。

歓迎会で盛り上がる居酒屋の隅っこの方であたしは1人でウーロン茶を飲んでいた。


先生とのことがあって失恋したばかりのあたしは悲しくて、悲しくてお酒なんて飲む気にはならなかった。


友達や同じクラスの子たちが話しかけてくれたし、盛り上がっているグループに入っていこうと誘ってくれたけれど、断って傍観していた。


そのうち一緒にいた友達もサークルの先輩に挨拶に行くと言ってあたしは1人になっていた。


新しい出会いがそこにあるなんて、その時のあたしは気づいていなかった。

こんな場所にいることより、1秒でも早く家に帰って1人で声をあげて泣きたかった。
 
< 221 / 339 >

この作品をシェア

pagetop