カテキョ。
あの頃、県内でも有名な進学校に通っていたあたしは見たた目はどこにでもいる至って普通の女子高生だった。

帰宅部だったあたしは放課後、グラウンドから聞こえくる野球部の掛け声と金属バットにあたるボールの音を聞きながら、教室に残ってよく友達と恋愛の話やくだらない話をしていた。

友達も特定の子と常に居るより、どのグループにも属さず、色んな子と一緒にいた。友達の幅は広く、でも付き合いが浅い友達が多かった。

友達の恋愛相談を聞いてみたり、クラスのあの子が誰と付き合っているとか、どうでもいい恋愛の話は大好きでよく話題にしていた。

けれど、自分の恋愛だけは話さなかった。話さなかったというより、友達には話せなかった。

それはあたしが、友達には言いにくい恋愛していたからだった。

友達はよく
「知佳(ちか)は、彼氏いないの?」
なんて聞いてきた。

わたしは笑って
「いないよ!」
と笑って言いながら、よくごまかしていた。

そういえばクラスの男子の誰かが、
「真面目な子程遊んでいる」
そう言っていた。

あたしは知らないふりをしていたけれど、確かにそうだと思っていた。
 
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