芹沢くんの秘密。



ひとつ、とても残念なお知らせがある。


みなさんもお分かりだろうが、夏休み中、図書室は開かない。
イコール、芹沢くんに会えない。



ちーん。



いまのうちにたくさん喋っておかないとね!



金曜日の図書室、芹沢くんの読書時間はすこし減った。

すこしだけね。


今までは図書室閉室10分前の音楽が鳴ってから帰ってた彼は、

その音楽がなる5分前くらいには本を閉じて立ち上がって、
わたしにちょっかいをかけていくようになった。


今日もその時間帯になると、黒髪の柔らかそうな猫っ毛がふらりと近づいてきた。



「川瀬さんもけっこう本、読むんだ」


「あ、うん。芹沢くんが読んでるみたいな難しそうな本はわたし馬鹿だから読めないけど、普通の小説だったら結構読むよ」



「ふぅん。…川瀬さんって、馬鹿なの」


…す、すごい単刀直入だな。


馬鹿っぽいってよく言われるし、たぶん
そう思ってるんだろうけど。



「うん…。今回なんか数学と物理赤点とっちゃってさ。あはは」


「え、あれ俺満点だったよ?」



…は?

え?


( ゚д゚)



嘘でしょ?



まあ、薄々感じてはいたけど、


芹沢くんて、萌・宇タイプの人間か〜!!


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