ハートをはんぶんこ。 ~時にすれ違うハートの行方~
説得…。

結局、説得なんてするわけないんだよ。
当たり前だ。
世間体、家のローン、子供のコト。
いろいろなことを考えれば、親はこのまま離婚しないで何とか暮らしていて欲しいのだから。

それでもあたしは家族を失うことよりも海斗を選んだ。
賛成してくれる人がいなくても海斗を失うのが怖かった。
たった数ヶ月しか知らない海斗を…。
ここで失ったらあたしは後悔すると…。

お父さんには『勘当』された。
お母さんには泣かれた。
妹たちには怒られた。

結局、子供たちはあたしが引き取ることになった。
お母さんが『子供には母親が必要です』と旦那の親に言ってくれた。
これは嬉しかった。

説得なんてできないまま、あたしの離婚の話は進み、成立した。
離婚の話と同時進行であたしは海斗と暮らす家を探したり、電化製品を見たりしていた。

離婚って意外と面倒。
裁判所にいったり、市役所にいったり、手続がたくさんあった。

離婚成立日。

『お待たせ、海斗。離婚成立したよ』

『これでやっと俺だけの桃子になった』

『え?』

『だって今までは俺のことが好きでも形上は旦那のものだったから』

『……。そうだね!これで本当に恋人同士だね』

そして離婚したその次の日からあたしと海斗と子供たちの4人の新しい生活が始まった。
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