兄妹ものがたり
大和*変わるものと変わらないもの


「おっすアッキー先輩!ご無沙汰っす」

「…これは一体、どういう状況なんだ」


仕事終わりのサラリーマンで賑わう居酒屋の一席、ヘラっと笑って片手を上げてみせるその横で、テーブルに突っ伏してピクリとも動かない人影に先輩は困惑顔で動きを止めた。


「ほらハレ、アッキー先輩だぞー起きろ」

「…それは、小向なのか?」


動かない体をやや乱暴に揺さぶって声をかけると、ようやくピクリと動きがあった人影がゆらりとテーブルから顔を上げる。


「…あ、ささのさん……どうも、おひたしぶりです…」

「…おひたし?」

「“お久しぶりです”と言ってます」


真っ赤な顔にトロンとした目で力ない笑みを浮かべ、たどたどしく言葉を紡ぐ姿に先輩の眉根が険しくなる。


「いくらなんでも飲み過ぎじゃないのか小向」

「へへっ…」
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