嘘とワンダーランド
広いだけの会議室にいるのは、わたしと彼の2人だけだった。

「お前を他の男に渡したくないんだ…」

呟くように言われたのと同時に、あごに指が添えられた。

「――ま、待って…!」

彼の顔がだんだんと近づいてくる。

知らなかった…。

彼がわたしのことをそんな風に見ていたなんて、思っても見なかった…。

でも…でも、わたしは…。

そう思った時、
「誰かいるのか?」

ガチャッと会議室のドアが開いたのと同時に、誰かが入ってきた。

パッ!

そんな音が一瞬したのかと思うくらい、わたしと彼は密着していた躰を離した。
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